〝日本の酒〟に特化し新たな市場を創造
逆転の発想で挑み業界に新風巻き起こす
株式会社酒商山田
こだわりと魅力を持った全国各地の日本酒を掘り起し、新たな需要を創り出す―。あえて縮小するマーケットに臨む〝逆転の発想〟で、日本酒業界の活性化に挑戦し、好業績を生み出している。
日本酒の消費低迷が続く中、純米酒や純米吟醸酒などの純米系特定名称酒は、売れ行きを伸ばしているという。酒商山田は、特定名称酒の扱いに特化する戦略で、業界の注目を集める。直営店は広島市内に、〝ギャラリー〟を標ぼうする宇品本店、〝サロン〟の中区幟町店、JR広島駅名店街内の広島駅北口店、エディオン蔦屋家電店の4店舗。立地に合わせて酒との出会いや楽しみ方を企画・提案し、2021 年の創業90周年には5店舗体制の構想を描く。
蔵元と酒の愛好家を結び付けるイベントや、女性層にアピールする工夫などを重ねる一方、15年1月に酒類の卸免許を取得し、卸業務を始めた。酒蔵と酒販店を独自の切り口から支援する日本の酒シリーズ「コンセプトワーカーズ・セレクション」(CWS)は、コンセプト(テーマ)を決めて銘柄をはじめラベルやボトルをデザインし、原料手配など農業や流通も巻き込んだ新しいビジネスモデルの構築を目指す。現在、全国19蔵の酒を商品化、販売先の店舗は66店に。商品の独自性を高めて、日本酒業界の活性化が大きな狙いだ。
戦わない経営
創業時は船舶食料品を扱った。その後、地元の船会社向けを主に町の酒屋を家族経営していたが、将来を見据えて売り上げの9割を占めたビールとタバコをやめ、1990 年から国産に特化した酒類販売を拡大。山田社長は、「知名度は低くても志があり、うまい酒を造る酒蔵と新しい市場を創ろう」と、戦わない戦略を採った結果、異業種からも注目される経営者に。 社員にはきき酒師やソムリエ、ワインアドバイザー、国際きき酒師も活躍。18年3月期決算は7期連続増収を果たした。「世界に誇る日本酒をさらに海外へ広めていきたい」 山田社長の夢は果てしなく続く。会社概要
株式会社酒商山田 本 社:広島市南区宇品海岸2-10-7 設 立: 2004年7月(創業1931年) 資本金:1000万円 売上高:10億8700万円(2018年3月期) 従業員数:36人 事業内容:日本の酒に特化した酒類販売 T E L:082-251-1013 http://www.sake-japan.jp/
※2018年8月当時の情報です。