総合食品卸の地域1番店を標ぼう
低温帯仕分け機能も高め競争力アップ

中村角株式会社

 地場総合食品卸で広島県トップクラス。中四国・九州の量販店向けを主力に生協、給食・外食産業、医療・老健施設など約400社に3万アイテムを供給する。低温流通機能を生かした卸が強みで、2017年10月には本社流通センターを増設し、冷凍庫も更新。チルドや冷蔵、冷凍品の温度帯環境を再整備することで、全体の8割を占める低温食品の仕分け機能を高め、低温卸の品質強化を図った。  加工水産物では国内有数の情報網、営業力を持ち、品ぞろえを充実。一方で、常温食品は1品種1メーカー主義を採る。「コア事業において圧倒的に強い地域1番店になる」を標ぼう。地域1番の卸だからこそ、地元でよく売れる品ぞろえを可能にしている。
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小口取引のシェア拡大へ

 17年、実さんしょうの辛味が程よく、上品な味わいに仕上げた缶詰「瀬戸内産小いわしのオイルサーディン」を発売した。鮮度の良い小いわしに、島根県・奥出雲の雲南産実さんしょうを加えてオイル漬けに。パッケージは社員が考えた。地域色を生かしたPB商品で、おりづるタワーや地元量販店、東京銀座のTAUで扱う。  PBを強化しており、店頭の動きからニーズやヒントを吸い上げ、商品化。先行販売の「ぶちうまい焼きそば」は、賞味期限を延ばしコシがある細麺が受け、好調な売れ行きが続く。中村一朗社長は、「ニーズはあるはずなのに、どのメーカーも扱っていない、マーケットに存在しない商品が必ずある。よそにない商品、サービスを追求し、密度の濃い丁寧な商談で、地域卸の機能をしっかりと発揮していきたい」と、〝これまでにない〟を切り口に、新規開拓につなげる構え。最新の商品知識や問題解決の提案力はもちろんのこと、消費者ニーズを生産者に伝えて商品開発を促す〝工場を持たないメーカー〟機能にも磨きをかけている。    卸業ならではのアンテナを働かせ、小さなメーカーでも品質が良く、独自性があれば卸先を開拓。卸先に対しては、売り場のレイアウト作成や販売データの分析による利益向上のサポート、売れ筋や売り方、地域性に合った商品を提案。低温食品を強みに家庭用分野でも積極展開しているが、事業環境の変化をにらみ、業務用を重点分野に据え小口取引のシェア拡大にも力を入れる。小口市場はきめ細かく小回りの利く対応が求められ、大手では参入が難しく開拓余地が十分あるとみる。飲食店など外食市場の開拓も積極化する。

地道で堅実な企業風土

 18年11月に創業70周年を迎える。中村社長の祖父、角太郎氏が海産乾物卸として創業。市場を見極め、総売り上げの4割以上あった瓶詰・缶詰やインスタント食品などの常温食品を減らし、主力を低温食品に移す大改革を行った。塩干、練製品などの水産加工品や総菜などは賞味期限が短く温度管理が難しい上、多品種少量で商品の地域性も強い。生産者の多くは中小規模だ。勝負をかけた選択が、現在の強みとなっている。  部署を超え交流を深める同好会を設け、職場を活性化。真面目で堅実な社風が根付いており、「毎日の食卓を地道にコツコツと支えるのが当社の使命。100周年に向け、食を通じて地域貢献に全うしたい」と、市場の変化に挑む

会社概要

中村角株式会社 本  社:広島市西区草津港1-3-3 設  立:1948年11月 資本金:1億1950万円 売上高:266億8564万円(2018年3月期) 従業員数:160人 事業内容:加工水産物、加工食品・業務用食品の卸 T E L:082-501-2000 http://www.nakamurakaku.co.jp

※2018年8月当時の情報です。