ものづくりの心は「百試千改」
趣向を凝らした新商品相次ぐ
株式会社にしき堂
広島名物の「もみじ饅頭」や「新・平家物語」、「広島レモン姫」、「八朔銘菓せとこまち」、「あたらしもみじ」など、多くの和菓子を製造販売する広島の業界大手。1951年10月、広島市南区松原町で創業した。当時、他メーカーが炭火でもみじまんじゅうを焼く中、同社はいち早く都市ガスを採用して量産体制を確立。2016年に創業65周年を迎えた。社是である「百試千改」は、「百回試して新商品を創り、千回改めて今ある商品を良くする」ことを意味する。定番のもみじ饅頭の原料には、北海道十勝から直送した最高級の小豆を使用。餡や生地の配合も、客の嗜好の変化や季節によって変えている。甘くない和菓子が求められている昨今では、数種の砂糖を使って配合を変えることで甘味を抑制。また、種類に合わせて生地の配合も変えるなどの工夫を凝らす。
他業種と商品を多数企画
他業種とのコラボレーション開発にも注力。ドラえもんの藤子プロとコラボレーションした「どこでもみじ」を発売したほか、ベーカリーのアンデルセンとは、「あたらしもみじ」を開発。自然界には無い新しい味を生み出す洋菓子と、素材の味を生かそうとする和菓子は発想が違うが、3年がかりで商品化。もみじまんじゅうでもなくケーキでもない、新しい食感と味わいに仕上げた。2018年には平清盛の生誕900年を記念した菓子「平成三十年限定版 平家物語」を商品化。源平合戦の舞台となった宇治にちなみ、生地に香りの高い抹茶を、餡には平維盛の異名「桜梅少将」にちなみ、紀州の梅を使った。また、AKB48の姉妹グループ「STU48」のメジャーデビューを応援する目的で商品化したもみじまんじゅう「STU48もみじ 瀬戸内レモン味」も発売。大崎上島産レモンを使った特製ジュレ入りのもみじまんじゅうで、冷やしたり冷凍してもおいしいという。100年続く会社へ
09年に発売の「生もみじ」は新たな看板商品となっており、17年4月にあった「第27回全国菓子大博覧会・三重」で外務大臣賞に輝いた。もっちりとした食感を生み出している餅は扱いが難しく、商品化には10年を要した。14年春に発売した「すこやかもみじ」は、同菓子博で食糧産業局長賞を受賞。幾度となく試作を繰り返し、卵も牛乳も小麦も使わない商品を開発した。一般にこうしたアレルゲン対応の土産品は少なく、市場開拓の努力や開発姿勢などが評価され、第55回全国推奨土産品審査会で「全国観光土産品連盟会長賞」を受けた。 17年4月、広島県食品工業技術センターと連携し、餡に酒粕かすを入れた「酒香もみじ」を発売。酒粕の香りを生かした控えめな甘さの餡と、きめ細かい生地で〝おとなのもみじ饅頭〟に仕上げ、18年には全国観光土産品連盟と日本商工会議所共催のNIPPON OMIYAGE AWARDで「特別審査優秀賞」を受けた。大谷博国社長は、「お菓子は人を笑顔にすることができます。その笑顔のため、毎日が挑戦です。立ち止まらず、消費者に喜ばれるおいしいお菓子作りをしたい。全国展開するよりもいつまでも地元にかわいがられ、100年続く会社でありたいと願っています」会社概要
株式会社にしき堂 本 社:広島市東区光町1-13-23 設 立:1953年12月(創業1951年10月) 資本金:1000万円 売上高:40億円(2017年6 月期) 従業員数:280人 事業内容:和菓子製造販売 T E L:082-262-3131 http://nisikido.co.jp/
※2018年8月当時の情報です。