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医療現場のニーズと課題解決に応え続ける
市場動向見極めグローバル展開を加速

株式会社ジェイ・エム・エス

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 がん治療向け抗がん剤調製・投与クローズドシステム「ネオシールド」が実績を上げている。医療従事者の健康リスクに着目した製品で、抗がん剤の安全で効率的な調製・投与を実現。がん拠点病院を中心に採用が増えており、今後は海外へもアプローチする構えだ。  抗がん剤は健康な人の正常な細胞にも影響を及ぼすため、医療従事者は適切に扱わないと病を引き起こすリスクが高まる。飛散を防ぐ曝露対策が必要だ。ネオシールドは、医療機器開発で培った閉鎖系技術を応用して開発した。閉鎖的な環境を維持したまま操作可能な独自のシステムで構成。抗がん剤の安全で簡単な取り扱いを可能にした。従来は輸入品に頼っていたが国産は初。  製品領域を広げる方針で、高齢化を見据え、口腔ケア分野に照準。国産初「JMS舌圧測定器」を広島大大学院と共同開発した。樹脂製バルーンを舌で口こうがい蓋に押し付けて舌の運動機能を最大圧力として測り、平均値±の範囲で改善値を見定める。摂食や嚥え んげ下が困難になった人の検査やリハビリに役立ててもらい、栄養管理~回復をサポートする。  舌圧測定器は、2016年度診療報酬改定で歯科診療の舌圧検査を対象に保険適用となった。18年度で口腔機能低下症の診断にも適用が拡大。口から食物を摂取する―元気なうちは当たり前の機能を側面から支える。健康寿命の延伸が叫ばれ、口腔ケアの重要性は高まるとみて、医科領域への適用も視野に入れる。
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開発シーズは医療現場

 医療現場の声を開発に生かす。創業来の一貫した姿勢だ。透析患者数が年々増え、患者の高齢化や医療スタッフ不足の深刻化も予想される。「JMS透析用コンソールGCX01」は、操作の一部を自動化し、多様なHDF療法(※)に対応した透析装置。人間工学に基づいて操作性を向上させ、モニタリング機能で安全な透析医療をサポートし、患者のQOL(生活の質)向上に貢献する。透析療法の選択の幅が広がり、省力化が期待されると、日本透析医学会で大きな反響を呼んだ。  医療費抑制政策が続き、医療機関のコスト要求も強まる。現場の声を吸い上げる一方で、奥窪宏章社長は、現場が気付いていない新たな価値を提案する〝コトづくり〟も強化する考えだ。

海外比率40%へ

 18年4月、タイに合弁会社「JMSヘルスケア・タイランド」を設立。経済成長に伴う市場拡大を見込みアセアンでの拡販、事業展開を推進する。14年からは中国初となるセントラル方式で透析液を調合・供給する血液透析システムを北京・上海・大連の医療機関へ導入。20年3月期で売上高620億円、営業利益25億円を目指す中期経営計画(GAIN2020)の下、現在、全体売り上げの約30%の海外比率を40%に引き上げる成長戦略を掲げた。アセアンと共に中国市場を強化する。  グローバル展開を加速する中、5ヵ所目の海外生産拠点フィリピン工場も操業拡大。最適生産を進め、競争力を高める。奥窪社長は、「新興国の医療ニーズは大きなビジネスチャンス。国内は医療費抑制や高齢社会に望まれる医療機器を提供し、医療現場に密着した顧客起点の事業展開を推し進める」

会社概要

株式会社ジェイ・エム・エス 本  社:広島市中区加古町12-17 設  立:1965年6月 資本金:74億1101万円 売上高:565億円(2018年3月期連結) 従業員数:1569人(グループ総数6270人) 事業内容:医療機器、医薬品の製造・販売、輸出入 T E L:082-243-5844 http://www.jms.cc/

※2018年8月当時の情報です。