人材活用や省力化・効率化に注力
持続可能な企業への成長図る
福山通運株式会社
運送業界大手で、グループ会社を含め支店や営業所などの拠点は約400ヵ所に上る。法人向けを中心に貨物自動車運送事業や流通加工事業などで全国に物流網を広げている。
事業展開は国内にとどまらず、国際物流の拡大も図っている。2016年春に東南アジアの物流企業グループを買収。アセアン域内で国境を越えたトラックによる運送事業に乗り出しており、物流面からアセアン諸国の経済成長を支える。
一方で運送業界の共通課題である、運転手を中心とした人手不足に対応する。求人・採用する際は、県内の同業では最高の給与水準を実現したという。また高卒採用を拡大し、新卒から時間をかけた運転手の育成にも努める。取引先企業への集配業務に当たる運転手には女性の採用も進め、従来の集配車両よりも小型で運転しやすい車両やAT車の導入も増やしている。
専用貨物列車を運行
人員の確保と労働環境の改善を図るため、専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」(東京~大阪、東京~福山、名古屋~福岡)を運行し、大型トラック228台分相当の貨物をトラック輸送から鉄道輸送に切り替える「モーダルシフト」を実現した。 さらに17年10月からは愛知県北名古屋市と静岡県裾野市間で、大型トラック2台分の貨物を1台で運ぶ、全長25㍍のフルトレーラー(ダブル連結トラック)の運行を開始。同社にはダブル連結トラックの運転が可能なけん引免許保有者が1300人以上在籍し、今後の普及に期待が掛かる。 そのほか提携する西濃運輸(岐阜)とトラックの共同運行を実施するなど輸送効率を高めている。 支店や営業所のターミナルでは、貨物取扱量に応じて、自動計量計測装置を組み合わせた高速自動仕分け装置を導入し、ターミナルでの荷物の仕分け作業を省力化した。労働時間の短縮や、正確な計量計測による適正な運賃収受にもつながっている。 荷物問い合わせに対しては、運転手が使う携帯端末による、情報のデジタル化・オンライン化を実現したことで、従業員の作業効率の向上と省力化をもたらした。 同社は地球環境保護の面でも、社会的な責任を果たすため、企業努力を続けている。専用貨物列車の運行で年間のCO₂排出量を約7㌧削減。ハイブリッド車や天然ガス車の導入、アイドリングストップを心掛け、急発進・急加速をしないエコドライブの取り組みも並行して進める。中期計画で変革へ即応
18年度は創業70周年の節目の年に当たり、新たな中期経営計画「Challenge,Change 2020」もスタートした。計画では、産業や国民生活を支えるライフラインである物流サービスを安全・安心に継続して提供することを使命と認識。顧客や従業員、株主を含む全ての関係者の満足度向上を図ることで企業価値向上に努める。 また人口の減少や情報通信技術の革新によって予測される大きな社会変革への即応を経営の最優先課題に掲げ、ネットワーク関連へ300億円、情報関連へ140億円の投資を計画。20年度には売上高3000億円、7日連続休暇取得などの経営目標達成を目指し、持続可能な成長の実現を図る。会社概要
福山通運株式会社 本 社:福山市東深津町4 -20- 1 設 立:1948年 資本金:303億1045万円 売上高:2677億9900万円(2018年3 月期連結) 従業員数: 2 万4079人 事業内容:貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、 倉庫業、荷造梱包業、通関業ほか T E L:084-924-2000 http://www.fukutsu.co.jp
※2018年8月当時の情報です。